商標の定義

商標とは、商品を生産、加工、証明又は販売することを業とする者が、自己の業務に関連する商品を他人の商品と識別させるために使用する記号、文字、図形、立体的形状、色彩、ホログラム、動作又はこれらを組み合わせたもの、その他視覚的に認識できるものをいいます。
商標法上、商標とはやはり視覚を通じて認識できるものに限定され、視覚を通じて認識できない音、匂い、味などのように聴覚、嗅覚、味覚で知覚できる標章は、現実の取引社会で他人の商品の識別標識として使用されているとしても、商標法上の商標として保護を受けることはできません。

広い意味での商標

商標の他に、サービス標、団体標章、業務標章も広義の商標の概念に該当します。
サービス標は、サービス業(広告業、通信業、銀行業、運送業、飲食業など役務の提供業務)を営む者が、自己のサービス業を他人のサービス業と識別させるために使用する標章をいいます。 つまり、商標は「商品」の識別標章であるのに対し、サービス標は「サービス業(役務)」の識別標章といえます。
団体標章は、商品を共同で生産・販売等をする業者等が設立した法人が直接使用したり、その監督の下にある団体員に自己の営業に関する商品又はサービス業に使用させるための標章をいいます。
業務標章は、YMCA、ボーイスカウトなどのように営利を目的としない業務を営む者がその業務を示すために使用する標章をいいます。 (例:大韓赤十字社、韓国消費者保護院など)

商標の隣接概念

商標の隣接概念としては、商号、デザイン、地理的表示、ドメインネーム、著作物などがあります。

商標と商号 商標は、自と他の商品を識別するために商品に付着する標章として商品の同一性を表示する機能を持つものですが、商号は、商人(法人・個人)が営業上自己を表示する名称として営業の同一性を表示する機能があります。つまり、商号は商人が営業に関して自己を表示する名称として人的標識の一種であり、文字で表現されて呼称され、会社企業の場合、商号の使用は強制的ですが、商標は他商品を識別する記号として文字だけでなく、記号、文字、図形などとこれらの結合またはこれらと色彩の結合で構成することができ、商標の使用においては強制性がない点が異なります。
ただし、企業イメージの統一化戦略(Corporate Identification Program)により、商号と商標を一致させることが国際的な傾向である点(商標の相互化又は商号の商標化現象)と、商号が商品標識として使用され、商標として登録要件を備えて登録された場合には、法律上、商標として保護される商号が徐々に増えており、両者の機能が重複する場合が多いです。
商標とデザイン 商品の識別標識である商標とは異なり、デザインは物品の外観に表現された美的な創作物です。 しかし、両者はいずれも形状(図形)と色彩の構成要素が共通しており、特に商標法に立体商標制度が導入されたことにより、デザインと商標の関連性がさらに高まりました。
商標と地理的表示 商標と地理的表示は、両者とも出所表示機能及び品質表示的機能、営業上の利益と関連し、知的財産権の範囲内で保護される標章であるという点では商標と類似点があります。このような類似点のため、地理的表示を商標制度内に包括して商標及び地理的表示保護法で規定している国がある一方、地理的表示を商標法で団体標章ないし証明標章として保護している国もあります。
しかし、商標は商品又はサービス業を提供する「特定の事業主体」を識別させてくれる標章であるのに対し、地理的表示は当該表示が使用されている製品を生産する事業主体が位置している「特定地域」を確認させてくれる標章であるため、地理的表示は商標のように一つの業者が他の競合業者を使用から排除させるという意味での「独占的所有者」はないという点で違いがあるといえます。
韓国は2004年改正商標法(2004.12.31.法律第7290号)を通じて2005年7月1日から「地理的表示」を団体標章として保護しています。"地理的表示"とは、単なる地名ではなく、"宝城緑茶"のように特定の品質、名声またはその他の特性を持っており、その品質などが当該地域の気候、土壌、地形などの地理的環境に起因する場合に、その商品が生産、製造または加工された地域を示す表示をいいます。 つまり、他の地域と区別される品質や名声などの特性が、その地域の気候、土壌、地形などの自然的条件や伝統的な生産秘法などの人的条件を含む地理的環境から本質的に生じる場合に、その地域で生産、製造または加工された商品であることを示す表示を意味します。
商標とドメイン名 商標は自他商品を識別するために商品に付ける標章であり、ドメイン名の場合、インターネット上のホストコンピュータのアドレスに相当する数字のアドレス(IP Address)に相当するアルファベット及び数字の一連の結合を意味します。したがって、商標の場合、商品出所表示の機能、ドメイン名の場合、インターネット上のホストコンピュータの場所表示の機能という別個の機能から出発しましたが、電子商取引の活性化に伴い、ドメイン名自体が商品やサービス業の出所表示としての機能も持つようになり、他人の商標を不正な目的で登録し、正当な商標権者に高い値段で転売しようとするサイバースクワッティング(Cybersquatting)行為が増加するにつれて、商標とドメイン名間の紛争が増加する傾向にあります。
原則として、国内で商標を登録したからといって当該商標に相当するドメイン名を登録する権利は付与されず、ドメイン名を登録したからといって当該商標を登録する権利を付与していません。
商標と著作物 著作物は文学、学術、芸術の範囲に属する創作物で、商品とは無関係な思想と感情の表現物を指します。商標は選択の結果であり、著作物は精神的創作物であるという点で違いがありますが、最近は商標のデザイン化傾向により、商標と著作物が抵触する場合も発生しています。
書籍の題号は著作物性が否定されますが、それが識別力を備えたものであれば書籍の商標として保護されることがあり、小説、演劇、漫画などの登場人物を意味するキャラクターの場合にも商標権と著作権の衝突ないし補完関係が成立することがあります。

商標の定義

商標は使用しようとする商品(またはサービス業)と共に特許庁に申請によって行われ、特許庁の商標審査官は、受理された出願日を基準として、既に他人によって先願された標章と同一類似のものがあるか否かと、標章の構成が国内で独占的に使用することになったとしても、第3者に公益上反しないかを審査して、その登録決定の可否を決定することになります。
このような特許庁審査官の審査は、各類別担当審査官によって多少主観的な判断で行われる可能性があるため、一旦審査官の審査を通過した独占可能な標章については、特許庁ホームページの商標公報に掲載され、掲載した日から2ヶ月以内に一般に異議申立の機会を与え、この期間内に異議がない場合、登録決定書を出願人に通知することになります。
下記出願手続き図をご参照ください。

商標登録を受けることができる者

韓国で商標権者となる資格を有する者(個人または法人)として、国内で商標を使用する者(法人・個人・共同事業者)または使用しようとする者は、商標法が定めるところにより、自己の商標を登録することができます。商標権者になれる資格は、韓国国民(法人を含む)はすべて該当し、外国人は相互主義原則と条約に基づいてその資格が決定されます。

実体的要件

商標の登録要件は、出願の形式などの手続き的要件と、商標の構成自体が他商品の識別力を有するか否かに関する実質的要件(積極的要件、消極的要件)に分けられますが、商標法で重要なのは実質的要件です。 結局、出願された商標は下記の要件に適合するかどうか特許庁で審査を受けることになりますので、商標選定時に下記の要件に該当しないように注意してください。

積極的要件 積極的要件商標の最も重要な機能は自他商品識別機能であるため、商標として登録されるためには、まず識別力を持たなければなりません。商標法上、識別力とは、取引者や一般需要者に商標を表示した商品が誰の商品であるかを認識させることを指します。
一般的に識別力の有無の判断は指定商品と関連して判断しており、商標法第6条第1項各号では、他商品の識別力のない商標として商標登録が不許可される事由を次のように限定的に列挙しています。

商品の普通名称(例:自動車商品-CAR)

慣用商標 (例:菓子類-チップス)

性質表示的(産地、品質、用途、原材料、効能、時期など)商標(例:スーツ-WOOL、カバン-学生)

顕著な地理的名称、その略語または地図(例:富士山)

一般的な姓または名称(例:田中、田中家、木村)

簡単でよくある標章(例; 123, ONE TWO)

その他の識別力のない標章:一般的に使われるスローガン、標語、挨拶など(例:Believe it or not、www)

消極的要件 消極的要件(不登録事由)商標が他商品の識別力を持っていても、独占排他的な性質の商標権を付与する場合、公益上又は他人の利益を侵害する場合には、当該商標の登録を排除する必要があります。商標法第7条ではこれを制限列挙的に規定しています。

大韓民国の国旗・国章、パリ条約同盟国・世界貿易機構加盟国または商標法条約締約国の勲章・包装、赤十字・オリンピックなどの公共マークと同一または類似の商標(例:桜図形、IMF、WTOなど)

国家・民族・公共団体・宗教などとの関係を虚偽に表示したり、これらを誹謗または侮辱するおそれのある商標(例:ヤンキー、Negroなど)

国家・公共団体または非営利公益法人の標章として著名なものと同一または類似した商標(例:YMCA、KBS、赤十字など)

善良な風俗に反したり、公共の秩序を害する恐れがある商標(例:わいせつな図形や文字、詐欺師、スリなどの文字)

政府または外国政府が開催したり、政府または外国政府の承認を得て開催する博覧会の賞牌・上場または包装と同一または類似の表示がある商標。

著名な他人の氏名・名称または商号・肖像などを含む商標(例:DJ、JP、KEPCO、周公など)

他人の先登録商標と同一または類似の商標

商標権が消滅した日から1年を経過していない他人の登録商標と同一又は類似の商標。

地理的表示団体標章権が消滅した日から1年を経過していない他人の地理的表示団体標章と同一または類似の商標

知事商標と同一又は類似の商標

知事の地理的表示と同一の類似商標

需要者の間で著しく認識されている他人の商品や営業と混同を生じさせるおそれのある商標。

商品の品質を誤認させたり、需要者を欺くおそれのある商標。

韓国内、他に特定の人の商標と認識されている商標と同一または類似の商標として不当な利益を得ようとするなどの不正な目的を持って使用する商標。

韓国内、他に特定の地域の地理的表示として認識されているものと同一又は類似の商標として不当な利益を得ようとする等不正な目的をもって使用する商標。

商品またはその商品の標章の機能を確保するために不可欠な立体的形状、色彩又は色彩の組み合わせだけで構成された商標。

世界貿易機関(WTO)加盟国内のワイン及び蒸留酒の産地に関する地理的表示として構成されたり、同表示を含む商標で、ワイン・蒸留酒又はこれに類似した商品に使用しようとする商標、ただし、地理的表示の正当な使用者が地理的表示団体標章登録出願をした場合は例外

商標権の存続期間

商標権は設定登録によって発生しますが、商標権の存続期間は設定登録がある日から10年であり、商標権の存続期間更新登録出願によって10年ずつその期間を更新することができるので、継続して使用する限り半永久的な効力を持ちます。商標権の存続期間を更新しようとする場合には、商標権の存続期間満了前1年以内に商標権存続期間更新登録出願をしなければなりません。

商標権者の保護

商標権の効力 商標を登録する場合、商標権者は積極的に指定商品についてその登録商標を使用する権利を独占する独占権と、他人が登録商標と同一又は類似の商標を使用する場合、その使用を禁止することができる禁止権を行使することができ、また、他人が自己の登録商標又は登録商標と類似の商標を使用するなど商標権を侵害する場合、商標権者はその者に対して侵害禁止請求権・損害賠償請求権などを行使することができる消極的な効力を持ちます。
商標権の侵害とみなされる行為 商標権は、商標権者だけが登録商標を指定商品について使用する権利を独占するので、商標権者以外の者が正当な権限なしに登録商標と同一又は類似の商標をその指定商品と同一又は類似の商品に使用する場合はもちろん、登録商標と同一又は類似の商標をその指定商品と同一又は類似の商品に使用する目的又は使用させる目的で交付・販売・偽造・所持及び保管する行為である予備的行為も商標権を侵害するものと規定しています。
商標権侵害に対する救済方法 商標権侵害に対する救済手段は次のように分類されます。

民事的救済 : 侵害禁止請求権、損害賠償請求権、仮処分、差押え、信用回復措置の請求など

刑事的救済(非親告罪) : 侵害罪、没収など

行政的救済 : 偽造商品の取り締まり、税関による国境措置、産業財産権紛争調整制度など

決定系(拒絶決定不服)審判手続

拒絶決定不服審判は、拒絶決定を受けた者が特許審判院に拒絶決定が間違っていることを主張し、その拒絶決定の取り消しを求める審判手続であります。 特許庁から拒絶決定書を送達された日から3ヶ月以内に特許審判院に審判請求書を提出することにより開始されます。これに対して、特許審判院では、審判番号及び審判官指定通知書を請求人に送付すると同時に、指定された審判長は、必要な事項が全て記載されているか、必要な書類が全て添付されているか等の審査を行います。

当事者系(無効/取消)の審判手続

審判番号及び審判官指定通知書を請求人に送付し、方式審査を行う等の手続は、決定系審判と同じです。ただし、当事者系審判の場合には、被請求人がいるので、まず、被請求人に審判請求書の写しが送付され、被請求人はこれに対して答弁書を提出します。 また、請求人と被請求人は、審理終了までに追加的に補正書または意見書等を提出することができます。もちろん、必要な場合、特許審判院では、両当事者を審判정에呼んで口頭審理を行うこともあります。 このような手続きが続いた後、審理が十分に進んだと思われる場合、特許審判院では、審理終了予定通知書を送り、審理終了及び審決を行うことになります。

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